【企業向け】障がい者雇用支援サービスや助成金、支援機関まとめ

障がい者雇用を検討しているものの、「何から取り組むべきかわからない」「どこに相談すべきかわからない」という悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。本記事では、障がい者雇用支援が求められる背景から具体的な支援機関、助成金・税制優遇措置までを詳しく解説しています。代表的な支援サービスも紹介しますので、障がい者雇用に取り組まれる方はぜひご覧ください。

障がい者雇用支援が求められる背景

障がい者雇用支援が求められる背景には、障害者雇用促進法で定められている「法定雇用率」の引き上げがあります。この法律は、障がい者の職業安定を目指すもので、企業が一定以上の割合で障がい者を雇用するよう定めています。

2024 年7 月現在の民間企業の法定雇用率は2.5%であり、従業員が40 人以上いる事業所は1 人以上の障がい者を雇用する必要があります。法定雇用率はこれまでに段階的に引き上げられてきた歴史があり、2026 年7 月には2.7%に引き上げられることが決定しています。これが障がい者雇用支援が強く求められる理由のひとつとなっています。

法定雇用率の民間企業の達成率は2023 年6 月1 日時点で50.1%と、半数程度にとどまっています。従業員数(常用雇用労働者)が100 人を超える企業で雇用率を達成できない場合には、障害者雇用納付金が徴収されます。

なお、法定雇用率は民間企業以外に対しても定められており、2024 年7 月現在では国、地方自治体が2.8%、都道府県等の教育委員会が2.7%です。

企業に対して障がい者の雇用促進が求められるなか、企業側と雇用される側のそれぞれに課題があり、支援が必要となっています。次の項目で、企業側が抱える悩みを紹介します。

参照:令和5 年障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省

参照:障害者雇用率制度について |厚生労働省

企業側の悩み

障がい者雇用促進法で規定され、また雇用することにはメリットがあることも理解はしているものの、障がい者を雇用することに不安を感じ、なかなか進めずにいる企業は少なくありません。企業側が感じている悩みとは、具体的には以下のようなものです。

・障がい者にどのような仕事を割り当ててよいのかわからない
・障がい者の能力に適した業務が社内にあるのか、あったとしてもすぐに調整できない
・業務時および業務前後の安全を確保できるか不安を感じる
・働き方や生活態度について、一般雇用枠の従業員と同様に注意してよいのかわからない
・一般雇用枠の従業員と同様の基準で評価してよいのか不明

雇用される障がい者側の悩み

悩みを抱えているのは雇用側だけではありません。雇用される障がい者の方が抱える不安には、次のようなものが挙げられます。

・職場での配慮が十分ではないと感じることがある
・従業員によっては障がいへの理解度が低い場合がある
・周囲とのコミュニケーションを十分に取れない場合がある
・割り当てられた仕事内容が障がいを配慮していないときがある
・正当な評価が行われていない場合がある

2017 年に障害者職業総合センターが実施した「障害者の就業状況等に関する調査」によれば、民間企業に就職した障がい者の1 年後の職場定着率は、発達障がい者が71.5%、知的障がい者が68.0%、身体障がい者が60.8%、精神障がい者が49.3%でした(2015 年度から2 年間の調査結果)。法定雇用率をいかに上げていくのかももちろん大切ですが、継続的に働ける環境をどのようにして作っていくのかも大きな課題となっています。

参照:障害者の就業状況等に関する調査研究|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業センター

主な障がい者雇用支援機関と各支援サービス

障がい者の方が働きやすい環境を整え、法定雇用率や定着率を高めていくには、公的支援機関との連携が有効です。障がいに配慮された就労環境は、障がいのない従業員にとっても働きやすく、結果的に一般従業員の定着率や従業員満足度の向上にもつながります。
ここでは、主な障がい者雇用支援機関である、

・ハローワーク(公共職業安定所)
・地域障害者職業センター
・障害者就業・生活支援センター
・就労定着支援事業所
・就労継続支援(A 型・B 型)事業所

の支援内容について解説します。

ハローワーク

障がい者雇用支援の中心的な役割を担っているのがハローワーク(公共職業安定所)です。障がい者や生活保護受給者のように、なかなか就職に結びつかない人を主な対象に、無償で支援しています。求職者だけでなく、求人側である企業に対しても以下のような支援を行っています。

・障がい者を雇い入れる準備のサポート
・職場定着支援
・雇用管理へのアドバイス
・雇用率未達成企業への指導
・助成金や支援制度の活用提案

ハローワークは全国に544 の事業所(ハローワーク本所436、出張所95、分室13)があり(2024 年4 月現在)、民間企業が連携を図りやすい環境が整備されています。障がい者雇用のノウハウや利用できる助成金など、初歩的な相談をしたいときにも有力な選択肢となる窓口です。ハローワークには、専門援助(障害者)部門を含む職業相談部門が設置されています。

地域障害者職業センター

障がい者一人ひとりの事情にあわせて職業指導や定着支援などを行っている機関です。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構により、全国47 か所+5 支所の事業所が設置されています(2024 年4 月現在)。障がい者を雇用する(または検討する)企業に対しては、以下のような支援を行っています。

・障がい者雇い入れ計画作成のサポート
・雇用管理上の課題分析
・雇用管理へのアドバイス
・実務研修の実施
・ジョブコーチの派遣

障がい者の方がスムーズに適応できる環境を作るためには、職場の人たちの理解が欠かせませんが、受け入れのノウハウを有する人材を自社で用意することは容易ではありません。そうした企業を対象に、地域障害者職業センターでは専門家であるジョブコーチ(職場適応援助者)を派遣し、障がい者の方との橋渡し役を担っています。

障害者就業・生活支援センター

ハローワークや障害者職業センターなどと連携しながら、障がい者の方の就業だけでなく、日常生活の面でもサポートする機関で、障害者雇用促進法改正によって2002 年に創設されました。全国に337 か所の事業所があります(2024 年4 月現在)。障がい者を雇用する(または検討する)企業に対しては、以下のような支援を実施しています。

・雇用管理へのアドバイス
・職場定着支援
・復職支援

障害者就業・生活支援センターの主な支援対象は障がい者です。ハローワークや地域障害者職業センターと比較すると、企業への支援は限定的で、より障がい者支援に重きが置かれています。

就労定着支援事業所

就労定着支援は、2018 年にスタートした比較的新しい福祉サービスです。独立した施設ではなく、就労移行支援事業所などに併設されていることが一般的です。就労定着支援事業所では障がい者の方の定着支援を、また就労移行支援事業所では就職に向けて必要なスキルを身につけるためのトレーニングを実施しています。障がいについての知識が十分でない企業と、障がい者との間に入って調整役などを行ってくれます。「支援の開始は就職後7 か月目から」「利用期間は最長3 年間」などの利用条件が定められている点には注意が必要で、利用期間が過ぎると、障害者就業・生活支援センターなどの別の機関に支援業務が引き継がれます。

就労継続支援(A 型・B 型)事業所

就労継続支援は就労を希望する障がい者の方への支援を目的とする福祉サービスです。障害者総合支援法にもとづいて実施されており、障がい者に就労と生産活動の機会を与える役割を担っています。就労継続支援事業所は、企業と障がい者とが雇用契約を結ぶか否かによってA 型(雇用型)とB 型(非雇用型)に分けられます。

就労継続支援A 型事業所の特徴としては、

・一般企業に雇用されるのは難しいものの、雇用契約にもとづく就労が「可能」な人が対象
・原則18 歳~65 歳未満(18 歳未満や65 歳以上でも利用できる場合がある)
・利用期間の定めなし
・1 か月あたりの平均賃金は8 万1,645 円(2021 年度)

といったことが挙げられます。また、同B 型事業所の特徴としては、

・一般企業に雇用されるのが難しく、雇用契約にもとづく就労も「困難」な人が対象
・年齢制限なし
・利用期間の定めなし
・1 か月あたりの平均工賃は1 万6,507 円(2021 年度)

といったことがあります。就労継続支援事業所では、企業では対応が難しい専門的な支援体制を整えており、同事業所を経て一般企業に就職することで、障がい者は職場に適応しやすくなり、雇用の継続につながることが期待されます。

障がい者雇用で利用できる助成金や税制優遇措置

適切な職場環境を整えて障がい者雇用を進めている企業には、助成金が支給されたり、税制優遇措置がとられたりします。ここでは、利用できる助成金および税制優遇措置の詳細について解説します。

調整金・報奨金

障がい者の雇用に向けて、職場環境や設備を整備するにはコストがかかります。障がい者雇用に関する企業の経済的負担を軽減するために設けられているのが、「障害者雇用納付金制度」です。法定雇用率を下回っている事業主は納付金を徴収され、雇用率を達成している事業主には調整金・報奨金が支給されます。調整金と報奨金とでは、金額も異なりますが、支給対象の企業規模が異なります。常時雇用労働者数が100 名を超えている企業の場合に支給されるのが調整金、100 名以下の企業の場合は報奨金です。

障害者雇用調整金が支給されるのは、上記の企業規模で、法定雇用率を上回っている場合です。法定雇用率を超えて雇用している障がい者の人数に応じて、1 人あたり月額2 万9000 円が支給されます。一方、報奨金は上記の企業規模で、法定雇用率を上回っている場合に支給されます。同じく1 人あたり月額2 万1000 円が支給されます。調整金・報奨金を受け取るには、毎年設定される期間内に申告・申請する必要があります。

参照:事業主のみなさまへ令和6 年度版ご案内|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構


特例給付金

特例給付金は、短時間であれば働ける障がい者を雇う事業主に対して支給されます。2020 年4 月に設けられましたが、改正障害者雇用促進法により、2024 年4 月1 日以降は廃止されました。週10 時間以上20 時間未満で就労する障がい者を対象に、雇用機会の確保と事業主の負担軽減を目的に設けられた制度ですが、上記労働時間の重度の身体・知的障がい者および精神障がい者が、1 人につき0.5 カウントとして法定雇用率に算定できるようになったためです。重度ではない身体・知的障がい者については、1 年間の経過措置ののち、2025 年4 月特に廃止される予定です。代替措置として、上記障害者雇用調整金の支給額が1 人あたり月額2 万7000 円から2 万9000 円に引き上げられています。


助成金

障がい者を雇い入れたときや、正規雇用労働者に転換したときなどにも助成金が支給されます。ここでは、

・トライアル雇用助成金
・特定求職者雇用開発助成金
・キャリアアップ助成金

について概説します。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、障がい者の雇用機会と労働時間を拡大するために設けられた制度です。目的に応じて「障害者トライアル雇用」「障害者短時間トライアル雇用」の2 種類が用意されています。

障害者トライアル雇用の支給条件は以下の通りです。

・障がい者を有期雇用で雇い入れ、一定の要件を満たした事業主が支給対象
・対象の障がい者1 人あたり月額最大4 万円が最長3 か月支給される
・精神障がい者を初めて雇用する場合、雇い入れから3 か月間は1 人あたり月額最大8 万円、4 か月目以降は月額最大4 万円が支給される(最長3 か月)

障害者短時間トライアル雇用の支給条件は以下の通りです。週20 時間以上の勤務が難しい障がい者をトライアル雇用する場合に適用されます。

・支給対象は同上
・対象の障がい者1 人あたり月額最大4 万円が最長12 か月支給される

障害者トライアル雇用制度を活用することで、事業主は障がい者の適性や業務遂行能力を見極められます。
障がい者側にとっても早期就職の可能性が高まるなど、双方にとって大きなメリットがあります。

参照:障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース|厚生労働省

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、障がい者や難病患者など、就職が困難だと考えられる対象者を継続雇用した際に支給されるものです。対象者により、さまざまなコースが設けられていますが、障がい者が該関連するコースとしては「特定就職困難者コース」「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」があります。

特定就職困難者コースの支給条件は以下の通りです。短時間労働者(1 週間の所定労働時間20 時間以上30時間未満である者)とそれ以外の労働者とでは条件が異なりますが、以下に示すのは短時間労働者以外の場合です。

・障がい者などの就職困難者を継続的に雇っている事業主が支給対象
・重度障がい者等を除く身体・知的障がい者の場合、大企業には50 万円(助成対象期間1 年)、中小企業には120 万円(同2 年)が支給される
・重度および45 歳以上の身体・知的障がい者、45 歳以上の精神障がい者の場合、大企業には100 万円(同1 年6 か月)、中小企業には240 万円(同3 年)が支給される発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースの支給条件は以下の通りです。
・発達障がい者や難病患者を継続的に雇っている事業主が支給対象
・短時間労働者以外の場合、大企業には50 万円(同1 年)、中小企業には120 万円(同2 年)が支給される
・短時間労働者の場合、大企業には30 万円(同1 年)、中小企業には80 万円(同2 年)が支給される

参照:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)|厚生労働省

キャリアアップ助成金

障がいのある有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換したり、処遇を改善したりしたときに支給される助成金です。取り組み内容によって計7 種類のコースが用意されていますが、障がい者雇用支援と深い関わりを持つのが「障害者正社員化コース」です。障がい者を有期雇用から正規雇用、有期雇用から無期雇用、無期雇用から正規雇用に転換した場合に支給されます。例えば、重度以外の身体障がい者および知的障がい者、発達障がい者、難病患者、高次脳機能障がいと診断された者を有期雇用から正規雇用に転換した場合、大企業には67.5 万円(同1 年)、中小企業には90 万円(同1 年)が支給されます。

参照:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内|厚生労働省

本記事で紹介以外にもさまざまな助成金制度があります。支給条件などは制度ごとに細かく設定されているため、利用を検討しているのであれば、ぜひ、ご自分で確認してください。

参照:障害者を雇い入れた場合などの助成|厚生労働省

参照:障害者の雇用継続を支援する助成金|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構


税制優遇措置

障がい者雇用に力を入れると、以下のような税制上の優遇を受けられます。

・助成金の非課税措置
・資産税割
・従業員割

優遇措置を受けるには、障がいの種類や雇用人数に応じた要件を満たす必要があります。詳しくは厚生労働
省のサイトなどでご確認ください。

参照:障害者雇用に係る税制上の優遇措置|厚生労働省

障がい者雇用支援の例

ここまで見てきたように、企業の障がい者雇用を支援する公的機関や制度は数多くありますが、「自社でも取り組みたいが、どのように進めたらよいのかわからない」という事業主・担当者の方は少なくないはずです。そのような場合に便利なのが、民間の支援サービスです。例えば、サンクスラボ株式会社が運営している就労継続支援A 型事業所「サテライトラボ」では、採用から職場定着までの障がい者雇用支援サービスをワンストップで提供しています。同ラボには、

・職場定着率99%以上
・テレワークで全国の企業に対応
・サテライトオフィスでスタッフが障がい者の業務をサポート
・障がい者雇用の課題を低コストで解決できる
・バックオフィス業務の成果も豊富

といった特徴があります。「IT×福祉」をテーマに掲げるサテライトラボでは、テレワークで就労する障がい者をスタッフがサポートしてくれるため、安心して業務をまかせられます。人件費・管理費を含むコストはリーズナブルで、費用を抑えながら、障がい者雇用を進められます。

まとめ

企業の障がい者雇用には、ハローワークや地域障害者職業センターなどのさまざまな公的機関が支援を行っています。障がい者雇用率を上げるために助成金制度も数多く設けられています。また、サンクスラボ株式会社でも、各企業のニーズに合わせて採用面接の同席や障がいのあるスタッフへの業務指導、体調ケアなどのサポートを提供しています。
自社に必要な支援サービスを有効に活用して、障がい者雇用をスムーズに進めていきましょう。

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